MENU

『人生後半の戦略書』感想・評価|自己モノ化しないためにSNSから離れろ

人生後半の戦略書の感想

『人生後半の戦力書』はタイトルの通り、私のように40代に突入してこれから本格的に人生を後半の迎える方をターゲットした書籍。

今までの仕事の進め方で上手くいかないと感じている、家族との向き合い方に悩んでいる、友人との関係はどうするべきか(そもそも親友がいない)、漠然とこれからの人生について悩んでいる、どれか一つで当てはまる方にはヒントになりまくりな良書でした。

今回はそれらの中から人生後半を不幸にする可能性のある、『自己モノ化』についての危険性や僕の感想をお伝えします。

X(旧Twitter)やInstagram(インスタ)などを1時間に1回はチェックしないと気がすまないような、SNS依存症になっている方は特に陥りやすい罠なので心あたりのある方はぜひご覧ください。

目次

人を【モノ化】するとは?どういう意味?

自己モノ化する女性

そもそも人(他人)を『モノ化』するとはどういう意味なのでしょう?

モノ化とは哲学者イマヌエル・カントの記した次の文章に由来する言葉です。

人がある人の欲求になった途端に、道徳的な関係性の動機はすべて機能しなくなる。

なぜなら、ある人の欲求の対象となった人は『モノ』と化し、全員から『モノ』として扱われ利用される可能性があるからである。

「人生後半の戦略書」P.87を参照

カントは自分が相手から欲求の対象となる『モノ』として見られるようになった時点で、対等な関係は破綻すると言っています。ここで言うモノとは『物体(thing)』のこと。

相手の内面なんて理解しようとせずに、物体的な側面(身体的特徴)だけで相手を判断したら真っ当な関係を構築できないと言っているわけです。

最もわかりやすいモノ化の具体例を出すと、男性が女性に対して体目的だけで関係を構築しようとするケース。

その場合、男性は女性に対して内面なんて一切求めていません。顔が美しくてスタイルさえ良ければ、性格なんて別にどうでもいいと思っているケースが大半です。

女性からすれば、そんな風に自分が相手の欲望を満たすだけのモノとして見られていることを知ったら、道徳的な関係は崩壊するだけでなく、自暴自棄になってもおかしくはありませんよね。これがモノ化の危険性。

さらにモノ化が厄介なのは、誰かからモノとして見られて欲求の対象になったが最後、他の人全員からモノ扱いされる可能性が高まるからです。

自分以外の他人全員からモノとして見られるなんて、想像するだけで恐ろしい…。そのようにモノ化は誰かの人間性の奪う危険な行為です。

モノ化は職業・学歴・勤務先・地位・収入・資産にも当てはまる

タワーマンション

哲学者カントが生きていた1700年代はモノ化と言えば、前述の具体例で挙げたように『身体的な特徴』を対象とするケース、つまり性的なモノ化が大半でした。

しかし資本主義という経済システムが確立した今では、モノ化の対象は身体的な特徴だけでなく『労働力』にも当てはまるようになったと著者アーサー・C・ブルックス氏は主張しています。

労働者を生産性でしか捉えず、働いている側も「自分はただの道具として利用されている」と認識すれば、燃え尽き症候群・うつ病などにつがなる可能性もある。たしかにそうですよね。

また著者は新たなモノ化の事例として『労働力』のみを上げていますが、それ以外にも職業・勤務先・学歴・地位・収入・住まい・資産など、その人に付随するステータス要素はモノ化の危険性があると考えます。

例えば、合コンに参加した女性の反応がイマイチだったのに、男性が職業を医者だと伝え途端に女性の態度が変わって猛烈にアプローチしてきたような場合。これは職業のモノ化です。

そんな風に今の時代は、身体的特徴や性別に関係なく自分が他者からモノ化される危険性があります。

自己モノ化は人生を満足度を低下させる!

自己モノ化して落ち込む

モノ化は何も他人からだけされる行為ではありません。第三者視点で自分をモノ化してしまう、『自己モノ化』という現象も存在します。

この『自己モノ化』の危険性が本記事で最も伝えたいことです。

鏡で自分の姿を見て「シワやたるみが増えて一気に老けたな」「若い頃と比べてお腹がでっぷり出てきたな」「同世代の女優さんはあんな綺麗なのにどうして私は…」みたいに自分の容姿を卑下する、

あるいは同じ年のスポーツ選手の活躍をニュースで知り「同じ歳の野球選手と比べて自分は100分の1も稼いでない」のように自分の価値を収入や職業で決めてしまう、それらは全て自己モノ化により引き起こされる事例です。

そして自己モノ化により他者と比べることは、自己肯定感や自尊心に低下に直結し、人生の満足度を低下させる行為です。

SNSは自己モノ化に直結しやすい

スマホと自己モノ化

現代には『自己モノ化』を加速させる装置があります。それがX(旧Twitter)やInstagram(インスタグラム)などのSNS(ソーシャルメディア)です。

それらのSNSでは世界中で何億人もユーザーが利用しており、自分より容姿・収入・資産などの優れている人なんていくらでもいます。

もう上を見ればキリがなく、そんな環境にいると無意識に自己モノ化をし、自分の体・顔・職業・収入などを恥じて自己肯定感は下がりやすくなります。

しかもSNSで自己肯定感が下がるのは何もあなただけではありません。あなたが自分よりも優れていると思っている魅力的な人達でさえ、SNSでは同じような悩みを抱えているのです。

容姿・職業・収入・資産の全てで100点満点で満足している人なんて、この世には存在しません。誰もがコンプレックスを持っており、不安と隣り合わせで生きています。

それに万が一コンプレックスが無い方がいたとしても、自分自身をモノ化して見た時点で価値基準がそこに置かれるため、自分という存在の主体性の欠如につながります。

また「今後もモノ化した自分の特徴は維持できるだろうか?」「自分の脅かす存在は現れないだろうか?」といった劣等感とは別の不安も現れます。

いずれにせよモノ化して自分を見た時点で、人生の幸福度にとって良い影響は与えないです。無意識に自己モノ化しているなと感じたら、スマホからアプリを削除してすぐにSNSから離れるべきです。

【まとめ】少しでも自己モノ化を感じたらTwitterと距離を置く

人生の後半の戦略書の感想

今回の記事では、『人生の後半の戦略書』で紹介されている【自己モノ化】が人生の満足度・幸福度を下げるいかに危険な行為かをお伝えしました。

特に注意するべきはSNSとの距離の取り方。もし1時間に1回はX(旧Twitter)にログインしてしまうと言った方は黄信号です。

SNSの中でもTwitterはマウンティング(マウント)と呼ばれる、他者より自分よりもいかに優れているかを暗に示すポスト(ツイート)が乱立しており、意識せずとも自分をモノ化して他者と比べてしまいます。以下はXでよく見るマウンティングの例です。

Xでよく見るマウンティングの例
  • 渋谷駅前に10分いただけで3回も芸能スカウトされたよ(容姿)
  • 本当は芸大志望だったんけど、親に言われて仕方なく東大に行ったんだ(学歴)
  • 型にはめられたく無いから、三菱商事の内定は蹴って起業した(職業)

もし上記のようなポストを見て、自分をモノ化して比べてしまうような傾向がある方はSNSと距離を置くべきです。

そんな投稿で心を乱されて自己肯定感を下げるのは、あなたの人生にとって何のプラスにもなりません。そもそもSNSをする上で、全員が正しい身元や経歴を公開しているわけじゃないので、真偽も怪しいものですからね。

無意識に自己モノ化をして、容姿・収入・職業・学歴・勤務先・資産などをSNSで他人と比べてしまう傾向のある方は『人生の後半の戦略書』を読み、自身の考え方を見つめ直すきっかけにしてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

40代で仕事をセミリタイアし、ハードワークを卒業しました。現在はフリーランスのお仕事と株式運用での収益が主な収入源。現在の目標は高配当株の配当金だけで生活すること。FP2級。資産運用検定2級。持ち家派。奥さんと子供と三人暮らし。

コメント

コメントする

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

目次